『思い出の形を鋳造しよう』

講師 黒沼 令

思い出の形ってどんな形だろう?
参加者の皆さんも誰一人経験したことがないという鋳造のワークショップは、計3回の連続講座というスタイルで開催しました。

初日は、形のない思い出を粘土で立体にし、小さな紙コップに入れて石膏を流し込むところまで。2回目は、粘土が金属に生まれ変わるという今回のワークショップのハイライト。石膏から粘土をかき出し、真っ赤に熱した低融点金属を流し込んで鋳造した後、冷やした金属を取り出しました。3回目が仕上げ。金属を磨き上げ、ふくしまの木の台座と組み合わせて小さな彫刻を完成させました。

初回、黒沼先生がハート型やバナナ、動物の頭蓋骨などの見本を広げた時、「あっ、船!」と、声を発した方がおられました。
太平洋に面した浜通りが、ふるさとの皆さんだからこそのまなざしだと思いました。
手のひらで粘土を転がすワークも楽しそうでした。普段の生活にはないハンド活動。まるで子どもの頃に戻ったようにみんなでコロコロ……。「下絵を考えてきてもそこは粘土。なかなか思い通りにはいきません。
粘土の力も借りながら形が立ち上がって来る面白さを感じてほしい」と黒沼先生。
隣の人、お向かいの人、あれやこれや話しに花を咲かせながら、お手伝いに来てくれた郡山女子大学短期大学部の学生さんも一緒に、より一層温かい雰囲気に。
ナラティブの輪の中から生まれたものを見せていただくと…花、優勝カップ、だるま、泉田川(浪江町)を遡上する鮭、海を泳ぐカレイなどなど、みなさんの日常やふるさとにつながる思い出が形になっていました。

粘土から石膏、そして金属へ。磨かれ、さらにふくしまの木という台座を得て今を謳歌する小さな彫刻たち。どうぞじっくりとご覧ください。

作品一覧

「亀」
鈴木 幸子

「カバ」
志賀 房子

「カレイ」
星野 伴子

「香水スティック立て」
長谷川 喜和

「象が岩にはさまったぞう」
荒津 豊

「だんご」
荒津 キクエ

「ミッキーマウス」
荒津 好子

「秋の味覚キノコ
(マツタケか?シイタケです)」
荒井 覚

「フェニックス」
小松 良典

「猫」
安齋 裕美子

「ゆきだるま」
野村 睦美

「私のなみだ(小)(大)」
高倉 幸子

「はしおき・ペンダント」
坂上 久仁子

「シューマイ・ペーパーウエイト・すずめのなみだ」
関 根 喜 枝 子

「恐竜」
志賀 良子

「無題」
吉本 真由美

「大好きなミッキーちゃん♡」
早川 知恵子

「四つ葉のクローバー」
小松 青空

「剣」
髙橋 陸

「ごめん寝」
渡邊 柚美

「花やかハート・しずくちゃん」
小松 青空

「ダブルのハート・しずくの気持ち」
白石 富士子

「ハートの穴・花(コスモス)」
天野 ふみ子

「トライアングル・ピラミッド&スフィンクス」
若 松 俊 夫

「コアラ」
吉田 孝光

「達磨」
堀内 政彦

「ダルマ?ダルマのおじさん・ダルマ?おじさん」
中 田 弘 敏

「球体」
横山 栄司

「雪だるま・浪江にもどる泳ぐしゃけ」
伊 藤 せ い 子

「誰が何と言おうとヘビ」
佐々木 隆人

「赤べこ」
芳賀 愛瑠

「カレイ」
愛澤 由美子

「だるまさん」
愛澤 由美子

「ジェミニスター」
若松 ともえ

「トロフィー・はし置き」
早川 弘

INSTRUCTOR

福島県在住。福島大学大学院修了。郡山女子大学短期大学講師。彫刻家。木彫制作に取り組む。2001年より国展に出展し、国展準会員優作賞など受賞多数。リアス・アーク美術館にて2018年に個展を開催。人間とは何か、現代における人間を具象表現を通して探求している。大学では、地域創生学科でアートの実技制作のほか、アートによる地域づくりに学生と取り組んでいる。2018年には、福島県立美術館の創作プログラム講師を担当(2018年11月13日)。全国区で活躍する注目の彫刻家であり、県内在住芸術家の若きトップランナーである。

© 2021 アートによる新生ふくしま交流事業